
中国のライブコマースに芸能人やバーチャルアイドルなども参戦。
インフルエンサー事態を使うマーケティングはここ何年も主流になってきていますが、特に最近はショートムービーやライブコマースを用いたインフルエンサーが特に注目を浴びています。
かつての中国のインフルエンサーといえば、どちらかと言うと面白いトピックを振りまくといった感じが多かったですが、最近話題のインフルエンサーは商品やサービスを面白く紹介するといったように、平たく言うとジャパネットたかたの高田社長のように、通販の面白いキャラクターといった感じになっているような気がしています。
これはかつてに比べて、 中国のインターネット言論の規制が厳しくなってきたことがこの背景の大きな要因でしょうね。
10年ほど前であれば、例えば政府だったり世相だったりといったことに対する批判まではいかずとも、少なくとも皮肉や風刺ぐらいであればほとんど規制はされなかったのですが、近年は政府の言論統制がかつてとは比べ物にならないぐらい進んでおり、さらにそれが年々強化されつつあるので、商品の評価のような政府や政策とは関係がない分野の情報発信でないと正直リスクがかなり高いんですね。
もちろんこのようなネガティブな理由だけでもなく、実際に中国のEコマースであったりあるいはインターネット回線の強化による動画配信の活発化などのマーケットニーズがあるからショートムービーやライブコマースが流行っていることも事実でしょう。
一方、これとは逆に、芸能人自体がライブコマースに参戦するといった傾向も見て取れます。
また、面白いところとして、バーチャルアイドルがライブコマースに参戦したりなどしています。
この辺りの、 SNSに最初は素人のインフルエンサーが人気を博した後、芸能人やバーチャルアイドルなどが滲出してくる事情は、日本とあまり変わりがないところがあるでしょう。
それではそのような全体的な背景を踏まえつつ、広告門から「最近話題の中国ライブコマース(放送)10選」がまとまっていたので、それについてのマーケティング情報をまとめてみたいと思います。
1.薇娅(viya) : 5月21日の感謝祭。
現在中国で一番の影響力を持っているタオバオライブコマースのトップインフルエンサー。ブランドとしては P&Gやペプシコの商品をPR。5月21日の感謝祭は賛否両論がありながら1.17億人の視聴者を得る。

2.CCTVボーイズ(CCTVのアナウンサー集団) : 生真面目なアナウンサーがライブコマースというギャップ。
今年の前半のインフルエンサーの中で最も話題になった、というよりも度肝を抜いたマーケティング施策。
これはCCTV、日本で言うと NHKに当たるチャンネルの中でも主に「 最も硬い(?)」話題を提供する「新聞聯播(要するに夜7:00のニュース)」に出てくるキャスターなどが国美電器のライブコマースに登場。
ライブコマース開始から3時間で約5億元の売上をもたらす。
中国政府のEコマース推進による消費喚起の政策からおそらく出演が実現したと思われるが、出演に至った裏話が知りたいところである。

汪涵(+李斌) : プロの司会者がライブコマースで1.5億元売上。
中国の湖南テレビの人気番組「天天向上」の司会者「汪涵」もライブコマースに司会として参戦。
タオバオで初めて司会をしたライブコマースは1.56億元の売上を記録した。
また、中国では特に新型コロナウイルスの発生以降、企業の CEO が自らインフルエンサーとなりショートムービーやライブコマースに出演し、商品を売るということがトレンドになってきており、汪涵司会のライブコマースに「蔚来汽車(中国の電気自動車メーカー)」総裁の「李斌」が登場、30分で320両の自動車を売り上げる。

4.李佳琦(Austin) : 化粧品のトップインフルエンサーがiphone SEをライブコマース。
化粧品のライブコマース販売でトップインフルエンサーを争う「李佳琦」がiPhoneのライブコマースを行う。キャンペーンはiPhone SEの200元の値引きや年間の利息が無料という内容であった。

5. 王生鮮 : クオリティー高いショートムービーで一躍人気に。
ショートムービーのナレーションや字幕、編集方法に定評がある「王生鮮」。
「トビウオ刺身にする(把飞鱼做成刺身)」のショートムービーがバズり、369万の「いいね」を獲得し、ファン数をが50万人から279万人と急増した。

6.劉涛 : 中国の松嶋菜々子も約1.5億元の売上を記録。
歌手、女優として有名な劉涛も「劉一刀」と名乗りタオバオでのライブコマースを開始。
4時間で1.48億円の売上をあげ、芸能人のライブコマースの売上記録を塗り替えた。

7.陳赫 : ライブコマースに進出、8000万元の売上。
中国TikTok (ティックトック)のファン数が6500万人を超える俳優の陳赫が中国TikTok上でライブコマースを開始。
8000万元近い売上を上げ、5000万人の累積視聴者を得た。

8.洛天衣、楽正綾などバーチャルアイドル : バーチャルアイドルとライブコマースの融合。
バーチャルアイドルもライブコマースに参戦してきている。洛天衣、楽正綾など6人のバーチャルアイドルが労働節にタオバオでライブコマースを行い、270万人の視聴者を得た。

9.李銀河 : 快手のライブ配信で500万人の視聴者を獲得。
社会科学者の李銀河は快手に登場。5人の選ばれた夫婦が5月20日の快手のライブ配信「秘密」で、愛情と幸福について李銀河と語り、573万人の視聴者を獲得し、そのライブ配信のアカウントは20万以上のファンを増やした。

10.Chloe : ハイエンドブランドはライブコマースに苦戦。
フランスのハイエンドブランドChloeが天猫TMALLで初めてAlex是大叔をゲストに迎えライブコマースを行う。視聴者は6.2万人であった。バーバリーやルイヴィトンもライブコマースを行ったがそれほど効果は得られなかった。 新型コロナウイルスの影響で、ハイエンドブランドもデジタル化を進めているが、ライブコマースに関してはそこまで良い結果を出してはいない。

ブランド力だけでは難しい。しっかり戦術を練ったマーケティング施策が必要。
このように見てみると、現在のところライブコマースに関しては、「インフルエンサーのキャラクター」と「キャンペーン内容」が中国人の感性にうまくマッチすることで効果を受けることができますが、単純に有名ブランドだからということで効果を上げていくことは現在の段階ではかなり難しいと言わざるを得ません。
確かに現在、ライブコマースが中国ではトレンドになっていますが、実施の際には、人気のあるインフルエンサーの動画などを研究して、きちんとした内容や起用するインフルエンサーの手配をきちんと行うことが、マーケティング施策、大変重要であると言えます。
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