ディオールが中国bilibiliに公式アカウントを開設した背景は?

中国消費グループとして台頭してきている1990年代生まれ以降にディオールがマーケティング手段としてbilibiliを活用。

中国では1990年代生まれ以降が消費のグループとして台頭してきたことを反映して、より若年層に刺さるマーケティングプロモーションを展開していく事例が増えてきています。

そんな中、クリスチャンディオールが日本で言う「ニコニコ動画」に相当する「中国bilibili」に公式アカウントを開設しました。

今日の時点ではまだ7つしか動画がアップロードされていませんが、今のところ日付を見ると2日にいっぺんほど動画がアップロードされているようです。

クリスチャンディオールのbilibili公式アカウント。
クリスチャンディオールのbilibili公式アカウント。

下記が実際のクリスチャンディオールのbilibili公式アカウントになります。

動画を内容は主にクリスチャンディオールのCM動画となっていますが、 クリスチャンディオールの製品の制作過程を写した動画などもアップロードされています。 

クリスチャンディオールの製品の制作過程を写した動画などもアップロード
クリスチャンディオールの製品の制作過程を写した動画などもアップロード。

現在のところ数字を見る限りでは 最も多い動画のクリック数で4000クリック程度なので、まだそこまでマーケティングプロモーションの効果が上がってるとは言えないでしょう。

では、クリスチャンディオールのような欧米のハイエンドブランドが中国bilibiliのような字幕動画サイトに公式アカウントを作っているのはどのような背景があるのでしょうか。

中国bilibiliとはどのような動画プラットフォームか?

中国bilibiliは日本のニコニコ動画のようにどちらかと言うとアニメなどのサブカルチャーに親和性が高い動画プラットフォームなのですが、今後のハイエンドブランドのマーケティングを考えた際にポイントとなる点がいくつかあるのでその点を見ていきましょう。

まずは中国bilibiliは若い世代にはそれなりに浸透している動画プラットフォームだということが挙げられます。

下の図のように、Z世代と呼ばれている1995-2009年産まれの3.28億も中国人の中で、最も愛されている動画プラットフォームだと言うデータが出ています。

また、若年層の二人に一人がbilibiliのアカウントを持っており、総アカウントの78%が18歳~35歳の若年層であると言うデータも出ています。

総アカウントの78%が18歳~35歳の若年層と若年層に強い
総アカウントの78%が18歳~35歳の若年層と若年層に強い。bilibiliより。

次にそのような若年層のユーザーの購買力に関するデーターです。

中国bilibiliによると Z世代は両親が裕福で将来に対する収入の見通しも明るく、2020年にはZ世代が全体の消費の40%を占めるという調査結果も出ています。 

Z世代は毎月の可処分所得が約3500元(日本円で5万円以上)というデータも出ており、ハイエンド商品を日常的に購買できる環境にあるということが言えます。

Z世代の可処分所得は既に毎月3500RMBほどある
Z世代の可処分所得は既に毎月3500RMBほどある。bilibiliより。

もちろん補足しておくと、中国の可処分所得に対する特殊な状況というものは頭に入れておかねばならないでしょう。

中国においては、月々の月給に関しては一般的に先進国よりもかなり低く、例えば日本との比較で言うと都市部においても日本人の約半分から1/3ぐらいです。

ただ中国人の場合は、最も大きいのは1990年代後半に国から不動産の払い下げがあったため、 都市部の住人に関してはとてつもない資産を持っています。

また、財テクもそれなりに活発で、そこで得た資産を使った財テクの収入もバカにならず、そういったところが中国人の爆買いの資産の原資となっています。

つまり中国人の爆買いの背景にあるのはつまるところ不動産価格の急上昇による資産ぶくれであり、裏を返せばその資産バブルに乗れなかった中国人、つまり払い下げの時期に都市に住んでなかった中国人は、消費意欲は旺盛であるもののそこまで富裕というわけではありません。

私たちが爆買いで目にする中国人は基本的に昔から都市部に住んで不動産払い下げの恩恵を受け、不動産価格の急上昇の波に乗った中国人であるという点は見落としてはならないポイントだと考えます。

そんなZ世代の傾向を受け、bilibiliのプラットフォームでもハイエンド商品を扱うインフルエンサーも何人かいます。例えばハイエンド商品のインフルエンサー「大猫在北京」や美容関係のインフルエンサー「深夜徐老師」「原来是西大門大嫂」などです。

bilibili高級ブランドインフルエンサー、「大猫在北京」
bilibili高級ブランドインフルエンサー、「大猫在北京」。

マッキンゼーの「中国ハイエンドブランド報告2019」によると、80年以後産まれと90年後産まれは各々ハイエンド市場の購買総量の43%と28%を占め、金額では各々56%と23%を占めているとのことです。

なので、今後消費中心になってくるZ世代へ向けたマーケティングを考える際に、bilibiliでマーケティングプロモーションを行うという選択肢はあり得る話ではあります。

ディオールは中国TikTokなども活用し、若い世代の囲い込みを図る。

クリスチャンディオールは中国TikTokに関しては、2018年より企業アカウントを取得してマーケティングプロモーションを展開しています。

そこでは中国人人気タレントのAngelababyや景甜などを起用したマーケティングプロモーションを展開しており、現在までに約40万人以上のファンを獲得しており、ハイエンドブランド部門のランキングトップです。

また、小紅書(RED)でも公式アカウントを開設しており13万人のファンを獲得しているといった具合で、ハイエンドファッションブランドの中では比較的若年層に受けるプラットフォームで積極的にマーケティングを展開しているブランドだということが言えます。

ディオールの中国TikTokのアカウント。約50万人のファン数。

このような流れを受けて、グッチも中国TikTokのアカウントを開設するなど、ハイエンドブランドも徐々にどちらかと言うと若年層向けの「軽い」プラットフォームでのマーケティングを展開し始めてます。

もちろん、bilibili、あるいは中国TikTokすらも、ハイエンドブランドはあまりにブランドイメージがかけ離れすぎているので、どこまで効果があるかというところは今後注目していかなければならないですが、Z世代に対するマーケティングの一環としてテスト的に活用していくのは見附市のためにも悪いことではないでしょう。