
中国の国内旅行は回復基調にある。
新型コロナウイルスの影響で、中国の旅行のニーズもまだ回復途中にあり、6月下旬の端午節で前年比75%、国慶節で前年比90%以上の回復を目指しているとされています。
もちろんこれは国内の旅行需要の話で、ほとんどの海外には実質的に行くこともできなければ、気分的にも行く気になれないので、日本向けのインバウンド回復の道筋は見えてないわけですが、 BDRから中国の旅行者に関する最新の調査結果が出ているので、中国人向けインバウンドマーケティングに関係する部分を紹介していきたいと思います。
旅游行业新变化:休闲游兴起、出行成本降低从发达国家经验来看,人均GDP与旅游消费水平直接相关。伴随人均GDP提升,我国旅游消费从早期观光型逐渐过渡到休闲型、度假型,消费者对高质量和深度旅游体验需求迅速增长…
インフルエンサーによる旅行情報の取得が主流に。
まず一つ言えるのは、 SNS の発展によりインフルエンサーによる旅行情報の取得が主な旅行の情報収集先となっており、さらにその旅行情報を SNS で共有すると言う現象が当たり前となってきています。
特に中国の場合、WeChatのモーメンツによる情報共有が操作が楽なこともあり頻繁に行われており、日本以上に SNS で情報を共有する傾向が強いということがいえます。

知り合いよりネットから旅行情報を取得。
またそれに伴い、インターネットでの情報収集というものが全体の6割を占めるくらいに大きくなってきているということが調査の結果から明らかになっています。
その次に重要なのが知り合いからの口コミで、旅行番組は約23%と続いています。
旅行社からの情報の取得は約13%ですが、OTA(Online Travel Agency)は「旅行攻略」と呼ばれる旅行用のSNS を開設しており、おそらく旅行攻略からの情報収集も「インターネットでの情報収集」に含まれるものと考えられます。


コロナ新時代は「安全面」でのアピールも重要。
中国人が旅行の決定要因として、観光地だったり休暇の予定だったりとおそらくこの辺りは日本を含めた他の国と変わらないと思うが、新型コロナウイルスの影響もあり、「安全」が決定要因の2番目となっているところは見逃せない点でしょう。

統計上はインフルエンサーの影響が強いが、実務上は注意が必要。
旅行決定要因に関してはちょっとじっくり見ていきましょう。
まず最も多いのは、インフルエンサーからの情報共有で約54%となっています。
次に知り合いからの共有となっていますが、これはWeChatのモーメントと考えてほぼ差し支えないでしょう、ここは46.8%となっています。
3番目は旅行の専門家からの情報で36.8%となっています。あくまでデータだけからすると、インフルエンサー間の情報共有や知り合いからの情報を共有よりも少なくなっています。
4番目と5番目に来るのは観光地などの公式情報と新聞報道で、各々 31.2%と15.4%となっています。
そう考えると、インフルエンサー間の情報共有を最も強化した方がいいという結論になりがちですが、実務上は考慮が必要です。
なぜなら、中国人は最終的に「公式情報」を信用する傾向があることと、 情報の受け皿きちんと整備しておくということもあり、まずは公式ウェブサイトや公式WeChatの整備を行うというのが定石です。
インフルエンサーを起用する際には、インフルエンサーはどうしても一過性で終わってしまう傾向が強いので、検索エンジン対策をある程度考えられたインフルエンサーだったり関連する施策を立てて行くのが良いでしょう。
新聞報道などメディアに関しては、状況によるとはいえ、こちらの調査のように実感的にもあまり効果が得られると思われないので、オプション的に考えるくらいで良いかと思います。

旅行情報取得のプラットフォームは「小紅書(RED)」が強い
それでは旅行を決定する時にどのプラットフォームが最もよく見られているのでしょうか。
調査の結果によると「小紅書(RED)」が最も多く、次に中国TikTok、その後C-trip、friggyと続く結果となっています。
これは実務をしている身からすると少し意外な結果で、実務上は下から2番目の「mafengwo(37.6%)」が最も影響力のある旅行情報のプラットフォームだと思われているからです。
そうは言っても、確かに小紅書(RED)の旅行情報は多く、中国TikTokもMAUを一貫して伸ばしてきているので、この辺りの活用が今後の中国インバウンドのマーケティングを考える際にも重要になってくるということは言えそうです。

以上の調査結果から考えると、中国人向けのインバウンドが回復した時には、今まで以上に「安全」を強調した方が良いというところと、「小紅書(RED)」、「中国TikTok」の活用を考えていったほうがいいということが言えるかもしれません。
問題は、現時点では「小紅書(RED)」も「中国TikTok」も中国国内の営業許可書がないと古式アカウントを開設することができず、日本の観光組織や交通機関がマーケティングプロモーションで用いるにはまだ壁があるという点でしょう。
実際に、上記の理由もあり、日本の観光関連組織などで「小紅書(RED)」や「中国TikTok」にアカウントを開設している例は現時点ではほとんどありません。
なので、観光における「小紅書(RED)」や「中国TikTok」の活用方法は研究しつつ、時期が来たら活用方法を考えるというスタイルが良いのではないかと思います。